(画像出典:クリストファーワードHP)
クリストファーワードから鉱石文字盤4種がそれぞれ限定150本で発売されます。36㎜×11.05㎜でノンデイト、シンプルな3針モデルです。
おそらく、ノンデイトにしたのは加工の都合でしょう。
インデックスや針などを固定するためには、旋盤で丸い穴を開ければよいですが、デイト表示となると四角く加工しなければなりませんからね。
そのコストと歩留まりを考えると、さすがにロレックスのようにはいきません。
タイガーアイ、ターコイズ、マラカイト(孔雀石)あたりは他のモデルでも見るものですが、チャロアイトは珍しいですね。
ネット情報によると、ロシアのサハ共和国で発見された希少な天然石で、1978年に新しい鉱物として認定された、とのこと。
貴石モデルを紹介したのは、フォーメックス以来です。(約3年ぶり!)
あれから、BALTICからも出ましたが即売り切れ。
このモデルは、ヒスイ、瑪瑙(メノウ)、ラピスラズリというものでした。
そのほか、ボールウォッチからもタイガーアイやマラカイトダイヤルが発売されています。
こう見ると、海外ブランドの展開に羨ましくなりつつも、なぜ日本ブランドはこれを行いえないのか?と考えてしまします。
一つに、これら文字盤を加工するための設備投資の問題があります。
これまで天然石の加工を自社で行ってこなかった場合、新たに設備投資を行う必要がありますが、単発の限定モデルでは、設備投資を行ってもペイしません。
だったら、既存のプレス加工技術や電鋳技術を上げた方がいい、となります。
えっ?海外ブランドだって自社で加工してないって?
確かにそうかもしれません。
次のハードルがサステナビリティの観点です。
セイコーが10月3日に発表した統合報告書(リンク)にもあるとおり、サプライヤー・委託先、原材料の調達先にも人権リスク回避を行うことが謳われています。
たとえば、タイガーアイはクロシドライト(青石綿)です。
セイコーがタイガーアイ文字盤を入手するために、原産国の労働者に石綿健康被害を強いていいのか?と問われたら答えはノーでしょう。
当然国内での石綿含有物の取り扱い(加工)は、研究用を除きNGですし、万が一オーバーホールのときに欠けたら石綿含有粉塵が舞う…そう考えるとタイガーアイ文字盤は1000%日本ブランドが採用することはないでしょう。
他の貴石文字盤も同様に、各貴石の原産地における人権リスクや導入後、メーカーが行うオーバーホール時のリスクなどを総合的に考えると、はっきり言って割に合わないんでしょうね。
生産本数の極端に少ない超高級モデルや、サステナビリティの問題までステークホルダーから求められていない企業は採用できると思いますが。。。
かつて、セイコーはモルフォ蝶ダイヤル、シチズンも貴石ケースといった今では考えられないようなモデルを展開していました。
それらが無い今はすこし寂しいですが、「昭和」って言えば何でも通る気がします。
昭和は何でもあり。しゃーない、しゃーない。

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