愛憎入り乱れる新マリンマスター考第3弾です。

前回はこちら


デザインの好き嫌いには、「プロスペックスマークの採用」もありますが、セイコーのプロスペックスシリーズであって復刻モデルと銘打っていないのであれば、続けなければなりません。
私自身は、ネガティブな感情は持っていないんですけどね。

気になる点② スペック
マリンマスターは、「マリンマスター」という名前が冠されていますが、これまで与えられた性能を鑑みると「マリンマスター プロフェッショナル」まで含めるのが正解でしょう。
セイコー社がどのように考えているか分かりませんが、ファンの認識は「マリンマスター=マリンマスタープロフェッショナル」であって、マリンマスターというペットネームを与えるからにはそれなりの性能が与えられて然るべきと考えているきらいがあります。

それが、200m防水て・・・

ファーストダイバーデザインだったとしても、300m防水を誇っていれば良かったですが、残念ながらダイバースキューバ群の10万円台モデルと変わらない防水性能しか与えられなかったのは残念です。

裏スケや薄型化の弊害と思いますが、“装着感”も立派な性能であり、かつてのセダンのような基本性能を現代ではSUVが担っているように、街中での運転のしやすさも重要であり、セイコー社としてはそこを重要視したのでしょう。
(過剰な防水性能により装着感を犠牲にしてはならない。)
しかし、ダイバーズモデルの一つのステータスである防水性能を犠牲にする必要があったのか。

センチュリーからV12が消え、V8になったように、街中モデルとしての快適性を追求するならば200m防水で十分でしょう。しかし、センチュリーのそれは600m防水(V12)を300m防水(V8)にしたのであって、200m防水(V6)にしたのではありません。

防水性能による装着感の低下によって、購入が見送られるのであれば、それは自身のブランド力の低さを嘆くべきであり、大衆に迎合して、ダイバーズモデルとしての矜持を捨ててはなりません。
そもそも、「フラッグシップ」モデルは大衆に迎合することなく買える人が買えばよいという、もっとドーンと構えていてよいものだと思います。

気になる点③ 「マリンマスターの位置づけ」

現在のプロスペックスシリーズ(ダイバーズ)を見てみると、
 ・もはや死に体、放置プレーなLXライン
 ・300m防水、1000m防水を備え、彼らが居るからスポーツモデルとしての
  ブランド力が保てるマリンマスタープロフェッショナル
 ・セイコーダイバーズのフラッグシップシリーズとして新たに誕生した
  マリンマスター
 ・値段も価格もごった煮のダイバースキューバ
となっています。

たしかに、ダイバースキューバ内で高価格帯のモデルを展開するのは、カテゴリー的に難しくなってきた(限界を迎えてきた)というのは理解できます。
下は数万円のクオーツから上は50万円を超えるモデルまで非常に幅が広いですから。

現在は、ダイバースキューバに入っている6L、8L搭載モデルのレギュラーモデルもマイナーチェンジを機にしれっとマリンマスターに追加されると踏んでいます。
アストロンモデル群整理のときやってますから。


そうなると、今後はマイナーチェンジ等のブランド整理のタイミングで
 LXライン→廃止
 マリンマスタープロフェッショナル→存続
 マリンマスター→6L、8L搭載モデル
 ダイバースキューバ→6R、クオーツモデル
となっていくんじゃないだろうか・・・

では、マリンマスターの「フラッグシップ」て何なんでしょう。
プロフェッショナルよりも性能は落ちるが、高級機を使い、仕上げには拘った。
それで「フラッグシップ」と言えるのでしょうか。
ダイバーズモデルとしての性能は下に揃え、価格は上に揃えたという、非常に中途半端な印象。

前述したとおり、セイコーファンの求める「マリンマスター」の最低スペックはV6,200mではなく、V8,300mです。
新マリンマスター立ち上げにあたり、マリンマスタープロフェッショナル群から300m防水モデルを抜き出し、新マリンマスターへ編入。
マリンマスタープロフェッショナルは300m超の防水スペック(600mや1000m超など)を担わせ、孤高の存在とする。
新マリンマスターのスペックは300m防水とし、200m防水はすべてダイバースキューバとすれば、まだ実用モデルとしてのフラッグシップとしての体は保てたのではないでしょうか。
(新マリンマスターだって、オメガ シーマスター 300が直径41mm、厚さ13.85mmのスペックで裏スケを搭載しているんだから、やればできるはずだ。(値段のことは置いておいても))

潜ることを諦めたダイバーズモデルに未来はない。

普段使いとしては今のままで十分ですが、時計は「ロマン」込みで購入するもの。
それは、値段であったり、ブランド力であったり、新素材であったり、性能であったり。
ダイバーズモデルの一つのロマンは「どこまで潜れるか」です。


そのロマンを自ら捨ててどうする(悲)