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前回の記事に対しコメントを頂戴をしました。
たしかに前作から相当時間が経っての発売でありSBEN003の価格を細かな検証をすることなしに、値上げだなんだと言い切るのはフェアではないと思いました。
つい、その前の記事ではザ・シチズンの価格に関し、値上げに言及して高い安いを言っていますからね。

前回記事


ザ・シチズンはちゃんと値上げついて触れている


と、いうわけで少し値段について検証してみたいと思います。
まずは、ザ・シチズン同様、ロレックスサブマリーナ(ノンデイト)を基準に考えてみたいと思います。

Ref.114060
2017年766,800円(税込)
2023年1,084,600円(税込)
値段上昇率141%
単純な上昇率だと141%ですが、2019年に消費税が10%になっていますので、税抜価格で換算すると138%となります。(あんまり変わらん・・・)

これをSBDX019の税抜き定価35万円に当てはめると税抜き48.3万円となりますので、新作であるSBEN003の税抜き定価42万円はロレックスを大幅に下回る値上げ率ということが分かります。

しかし、現実的にはロレックスは6年の間に何度も値上げを繰り返しており、このような長期間にわたる値上げ、しかも高級時計たるロレックスとSEIKOプロスペックスを比較するのは分不相応であるように感じます。

次に、セイコーが実施した2023年3月のプロスペックス値上げ(平均12%)を考えます。
モデルごとの改定前後の価格は過去記事をご覧ください。

この値上げ分を加味したらどうなるでしょうか。
35万×112%=39.2万円となりました。
SBEN003は税抜き42万円ですので、値上げ率は12%を超えていると評価できます。

一方で、SBDX019と同一キャリバーを積んでいるSBDX047は税抜き30万円から税抜き35万円へと値上げされています。(116%)
これを適用すると35万円×116%=40.2万円となります。
うん、近づいてきたぞ。

しかし、忘れてならないのがSSブレスの存在。SBDX019にはSSブレスが付属しているのです。
パーツの値段の比較は非常に難しいものがあります。
もしも、SBEN003がSSブレス付属だったらどうだったでしょうか。
チューダー54を参考にするとSSブレスとの価格差は税込2.7万円ほどです。
あまり参考にならないかもしれませんが、クレドールGCAR979とGCAR975はSSブレス/ワニ革の価格差が税込5万円あります。
そのため、間をとって税抜き3万円とすると、税抜き45万円となります。(税込495,000円)

なんと、サブマリーナの値上げ率にかなり近づいてしまいました。
このように考えると、(新キャリバー搭載とはいえ)SBEN003の値上げ率は、プロスペックスシリーズのそれを上回る割高な存在である、というのが私の結論です。

もともと上位機種たる8Lのレギュラーモデルが38.5万円(税込)であるところ、新キャリバー・限定というフィルターを掛けても、価格の近いチューダー54にムーブメントの性能(精度・パワーリザーブ)で負けているのだから、税抜き40万円あたりが性能・ブランドの立ち位置的に妥当な値付けだと思いました。

それでも、少し高めの設定にしたのは、SBDX019が瞬間的に蒸発するが如く売り切れとなり、未使用品であれば倍近く、中古品でも50万円を超える価格で取引されており、潜在需要があって多少高くても売れるとの経営判断でしょう。

実際、私自身、35万円は高いよ~と発売当初は思い、ゆっくり考えるべ、なんてしていたらあっという間に売り切れ。とりあえず買っとけばよかったと後悔したものです。
SBDX019持ちの方でSBEN003に買い替える方も少なくないでしょう。
今なら買った値段より高く売れ、しかも追加費用なしで新型手に入れられますから。

よりオリジナルに近い当モデルも売れるでしょう。
しかし、市場に出てくるSBDX019を狙うのも一つの手かもしれません。


なお、SBEN003のバンド幅は19㎜。
純正バンドで装着できる(対応している)ものはないそうです。
当然、製紐ストラップもつけられず。(製紐ストラップの幅は20㎜)
お客様センターのお姉さん、教えてくれてありがとうございました。