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新レンジャーが7月9日に発売されました。
ネットの評価は悪くないですが、この値段で!というのが大半の評価。
早速購入された方、おめでとうございます。
「着ける機会がなく〜」「金欠のため〜」「勢いで〜」なんていう枕ことばがあれば購入後数日でのフリマアプリでの出品でも転売ヤー認定されないと思ったら大間違いだぞ!全ての時計転売ヤーに天誅が下りますように…

さて、私怨はこのくらいにして、新レンジャーのブランド内の立ち位置を考えてみましょう。
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ご覧のように、新レンジャーはブラックベイ36と同価格であり、同じマニファクチャーキャリバーを積んだ他モデルと比べ最廉価となっています。
もちろん、素材や機能といった点での価格差はあるので、当たり前といえば当たり前なのですが、チューダーのマニファクチャーキャリバー搭載モデルが税込30万円台(399,000円とかでなく)で購入できるというのが本モデルの特徴であり、ネット等での記事もそれに倣っています。

また、本モデルは「スポーツモデル」として展開できる素地があるのも大きな強みです。
ダイバーズ、GMT、クロノグラフといった機能なしにスポーツモデルとして展開できるのは、レンジャーが持つ歴史的価値が影響しています。

〜いわゆる○○モデルというものは、時計メーカーにとって非常に貴重です。
スポンサー契約をしている選手が優勝するのとはワケが違います。
月に行ったスピードマスター、ポール・ニューマンの愛したデイトナなど、メーカーがああしたいこうしたいではなく、使用する人物が機能やデザインに惚れ込んで伝説(語り草)になったモデルは時を越えて(モデルチェンジしてもなお)そのシリーズに新たな付加価値を提供します。〜

ただの3針にあらず、というのがチューダー社の戦略(プロモーション)であり、私達の所有欲を満たしてくれる要因となっています。
また、個人的には文字盤に「CHRONOMETRE」を入れず「RANGER」表記だけとしたのも、すごくかっこいいと思います。

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ですが、価格には価格なりの理由があります。
インデックスや針の仕上げ、質感はブラックベイ36と比べるとチープに感じてしまいます。もちろん、オリジナルを踏襲したかたちなので「コストダウン」という意味ではありませんが、エクワンを想像して植字ような質感を期待するとガッカリされる方もいるかもしれません。
また、ベゼルもポリッシュがかかっていないので、高級感がありません。

34万円払ってこれかぁ…と思う方もいるでしょうし、実用ウォッチなのだから高級感不要!オリジナルの雰囲気を再現している!と思う方もいるでしょう。
マニファクチャーキャリバー・COSC・パワーリザーブ70時間・スポーツモデル・30万円台は当モデルの他は「ロンジン、スピリット」だけかと思います。
あとは、質感に皆さんがその価値を見出すかどうか…ですね。


おまけ
グランドセイコーもかつては、sbgv243、245という3針スポーツモデルを出していました。(現在廃盤)
現在は多くのスポーツモデルでファブリックストラップが展開されていますが、ファブリックストラップのみだった当モデル、当時は早すぎた感がありハネませんでした。
今ではジワリジワリとその人気を回復しつつあります。
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現在のグランドセイコースポーツコレクションは、ダイバーズ、GMT、クロノグラフ、耐磁といった機能ありのものだけで、これらなしにはスポーツモデルとして展開できていません。
こういったところが、国産モデルの弱いところですね。
GSにもシンプル3針のスポーツモデルが欲しいところですが、自動巻で34万円での展開は無理でしょうし、プリントインデックスにするような思い切りのよさも無いでしょう。
機能を絞ってデザインに振った入門用スポーツモデルがあってもいいと思うんですよね。(入門用3針クォーツはデザインがね…)